アルコール依存症になった話


今日はわたしがアルコール依存症になった経緯について書きたいと思います。10年以上毎日2リットル以上ビールを飲む生活を続けていましたが、2021年8月から禁酒を始め、1年以上経過しています。

学生から社会人へ

大学生のときからお酒は好きなほうでした。色んな種類があるのでそれを覚える楽しみだったり、カクテルセットを買って家で作る遊びをしていたり。それでも毎日飲むことはなく、飲まない日のほうが通常でありました。社会人になり、26、7歳くらいからそれ以降、ストレスから酒量が増え始めて毎日飲むようになったと思います。徐々に増えていき、休日は昼間から飲むことも当たり前のようになりました。

酒での失敗

喧嘩や暴言が常態化しているといったことはなく(覚えていないだけかもしれませんが)、大きな失敗で思い出すのはひとつ。当時自転車通勤している時期でした。飲み会に参加しテキーラをデキャンタ一気とかして、そのまま自転車で帰ろうとしたところ(なお自転車でも駄目です)、顔から地面につっこみ鎖骨を骨折しました。起きたら病院の集中治療室でした。運良く通行人が救急車を呼んでくれて助かったようです。真冬だったのでそのままだったら危なかったですね。顔からドーンと地面に突っ込んだあといちど起き上がり自転車にまたがって進み始め、数メートル進んでまた顔からドーンと突っ込み、そして動かなくなったそうです。28歳でした。

なお、このときのことを反省し、お酒をやめたかというとそんなことはなく、そのまま飲み続けます。

コロナ・リモートワークでいぼ痔

2020年コロナ禍でフルリモートワークになりました。クライアント先への移動もないため1日中椅子に座って仕事をしていたところ人生初のいぼ痔になりました。それが2020年8月。ストレス、辛い食べ物、タバコ、アルコール、冷房が影響しやすいとのこと、全部当てはまっていました。割とショックだったので改善しようと一汁三菜の食事が良いということなので毎食味噌汁を作りこれも人生初の一汁三菜の生活を経験しました。また、ビールが特に良くなく、酒飲むなら焼酎のほうが良いということだったのでビールをチューハイに切り替えました。自分の中では対して違わないと思っていたのですがビールからチューハイに変えることでアルコール度数が4%から6%にあがっていました。なお1日2リットルは変わらずです。

無趣味・休日の過ごし方=酒

これはコロナ前からでしたが、仕事仕事モードだと休日何もやる気が起きず、無趣味で、「酒飲むくらいしかないよね」となっていました。30手前までは自転車を組立てたり、マラソンレース参加したり、モンキーをカスタムしたり、バイクで日帰り旅行など色々やっていたのですが。休日酒飲むくらいしかないよね状態だと、3連休、5連休も酒飲んでおわりです。5連休明けの稼働日は「さすがに酒が残ってるなー」という感覚でした。

自覚症状

痔対策のためにチューハイに切り替えてからも毎日飲み続け、1年ほど経った2021年7月ごろ、なんかおかしいなと思い始めます。リモートワークになり通勤も移動もないので筋力は衰えていました。歩くスピードが遅くなったり、それだけでなく足に力入ってないなとわかる感覚がありました。なので「手の震え」が始まった頃も最初は「おお手まで。そこまでリモートワークで筋力衰えてるのか笑」くらいにしか思っていませんでした。カップ麺食べるのに箸が震えて、「おおお!食べにくい!笑」と笑ってました。

時を同じくして動悸息切れが出始めました。平日業務を開始してお昼くらいになると激しく、まあまあ苦しい動悸息切れ。これも「一汁三菜にしたのは良いが、漬物で塩分摂りすぎて血圧上がっているのかな。これが高血圧という状態か」と思っていました。

ただこれが平日毎日のように頻繁に起こるようになった頃、「あれ?これもしかして世にいうアルコールの離脱症状というやつなのではないか?」と疑うようになりました。調べました。そうでした、思いっきり離脱症状でした。アルコール依存症についての本を読み、ネットでも調べました。その結果、「うん。これはアルコール依存症になったな」と自覚しました。

禁酒を開始する

「このまま続けたら仕事やめることになりそう」「さらにいくと社会生活が送れなくなりそう」と考えようやく禁酒をしてみることとしました。丁寧に数時間ごとの体調変化を記載してくれているサイトがあり、それを見ながら初日、2日目と一日一日を過ごしていきました。まず、眠れない。初日は明け方まで覚醒していたような気がします。2日目も3日目も同じ。眠れないのでベッドで小説を読み始めて以降は寝付きが良くなりました。なお、体調変化を記しているサイトに「天使が飛ぶ」との記載があります。夜、目の端になにか小さい白いものがシュンッと見える感覚があります。「ん?なんかとんだ?」禁酒したてはこのような感覚が起こることが多いらしく、これも経験しました。また、48時間後くらいの記載の中の一項目に「錯乱」と一言書いており、「え、自分これから錯乱すんの!?」とビクついていました。幸い錯乱しなくて済んだようなのですが、、、。

禁酒を継続する

それからは1日ずつEvernoteに「◯日経過」と記録をしていき、いまのところ1年以上断酒できています。ちなみに「禁酒」でも「断酒」でもなく「卒酒」と思っています。「もういーらない」という気持ちです。

では1年の間に1滴も飲んでいないのかというとそうでもなく、2,3ヶ月に一回ほど1本だけ買って飲んでみる、というのはしました。記録だと最後が5月7日でした。好奇心で「いま飲んだらどんな感覚なんだろう」と試し飲みだけしていて、ただそこから習慣飲酒には戻らずこれている、という状況です。感想としては「まあ美味しいしぽわ~んとして楽しい気持ちにはなるなあ」という感じですね。ただ翌日が「寝覚め悪い!胃が重い!」となるので、もう「飲んでみよう」もする気がなくなっています。ドラマで生ビール出てくるときだけ「うお、飲みたい!」となります。やはりいちばん好きだっただけあって脳内のどこかがパカっと開く感じなんでしょうね。きっとこれがレセプターというやつなのでしょう。

アルコールって怖い

アルコール依存症に対する理解はまだ一般的ではないと思っています。自分でもテレビや漫画での家で暴れるお父さんだったりのイメージしか以前はなかったです。そうなったらおしまいだし自分はそこまで行っていないと。ですが、実際にはその「世間のイメージ」よりだいぶ手前の段階として日常の世界に普通に存在しているものなんだと思います。で、普通に存在しているし、広い意味の依存症枠内にハマっている人口も多いはずなんですが、そう本人たちに告げるとほぼ全員「否定」するはずです。アルコール依存症は「否定」の病気とも言われるそう。「え、アル中?なに言ってんだおれは大丈夫だよ」という反応ですね。

アルコールには、

  • 安い(入手しやすい)
  • 世間が寛容(酒くらいいいでしょ)
  • 実はしっかり毒物でありドラッグである
  • 依存症になるまでの期間が長い傾向にあることで抜け出しにくい
  • やめるためには自分または他者の「常識」を取っ払う、思考の切り替え(リセット?)が必要なことが多い(ここが一番むずかしいところかもしれない)

という特徴があります。アルコールって怖いなと思います。アルコール自体がというよりも、「人々のなかでまだドラッグ認定されていないこと」のほうが状況的に怖いというか、少なくとも抜き出しにくいケースを作ってしまいやすい理由にはなっていると思います。ドラッグの歴史本を読むと、コカインも覚醒剤もヘロインもちょっと前までは薬(薬局で売られるおくすりのほう)として合法的に利用されていたし、依存性はないとされて販売されていたそうです。アルコールもそれらに比べて依存性が特に低いというわけでもないそう。

ちなみにアルコール依存症になるひとは「真面目でハイパフォーマー」であることが多いとのこと。読んだときに「うん。そうだな。」と思いました。

昭和世代の死に方

40を目前にしてひとつ、「常識的なものを」何も疑わず生活を続けていたら60代くらいが平均寿命だった過去も頷けるな、ということでした。高度経済成長期にモーレツサラリーマンとして身を粉にして働き、「普通に」家族を持ち「普通に」家を買い、タバコを吸い続け酒を飲み続け、子供が大きくなるまでまだ10年以上ある。この状況ならストレスを酒で紛らわすことも当然あるでしょう。40歳をすぎるとひとは変わりにくいとも聞きます。これをそのまま40歳越えても続けていたら体にガタがきやすくなるもの納得してしまいました。まあタバコもあると思いますが。

なお、タバコはやめられません。